堺は昆布でも有名です。近所にある昆布工場「昆布のマツモト」の販売店「こぶ政」へ行ってきました。
目次
堺の昆布加工業
江戸時代中期、北海道で採られた昆布が下関を経て堺へ通じる航路(コンブロード)が開かれ、堺の昆布加工業が本格的に発達しました。 その後、大正から昭和初期にかけ、堺は昆布の一大産地としての最盛期を迎えます。
上質の「とろろ」や「おぼろ」に加工するには、熟練した昆布職人の技と鋭い感性が必要です。 昆布を削る包丁の微妙な力加減により、機械ではできない風味豊かな味に仕上がります。加工に使われる専用の包丁は、古くから刃物づくりが行われてきた堺で作られたものです。堺の昆布加工業の発展は、堺の刃物づくりと深く関わりがあるのです。
堺の昆布加工業の歴史
北前船でコンブロード通って堺へ運ばれた昆布は、堺の家内制の工場に集められ「とろろ」や「おぼろ」に加工されました。最盛期の大正時代から昭和初期には150以上の業者がいる一大産地となりました。
北前船とは
大阪と北海道を結んだ経済動脈
- 江戸時代中期(18世紀中ごろ)~明治30年代
- 大阪と北海道を日本海回りで
- 商品を売り買いしながら結んでいった商船郡
北前船はそういう商船の総称です。
堺の昆布加工業の特徴
「とろろ昆布」と「おぼろ昆布」2つの違いは、削り方です。
「とろろ昆布」
昆布を幾重にも重ねて数十トンの圧力をかけ、数日間しっかりプレスします。
その昆布の塊を縦にして、機械で薄く削ってできるのが、とろろ昆布です。
縦にして削るため、絹糸のように繊細で綺麗な目をしています。
昆布を何枚も重ねたものの側面を削ったものです。 ふんわりとした質感で、お吸い物におすすめです。
「おぼろ昆布」
一方、おぼろ昆布は、昆布の表面を薄く削ったものです。
おぼろ昆布はうどんに入れて「昆布うどん」にしたり、おにぎりに巻いて食べます。残った芯の部分「白板昆布」はバッテラ寿司の上にのせて使います。
<おぼろ昆布の作り方>
職人が丁寧に1枚1枚手すきで、丹念に昆布の面を削り上げます。
昆布の種類と特徴
主に北海道で採れる昆布ですが、種類によって、味も調理法も異なります。
- 真昆布
色は褐色。肉は厚く幅が広い。上品な風味でこんぶの最高級品。 - 羅臼昆布
色は茶褐色。だしをとるとにごるが香りがよく、こくのある濃厚な旨味と甘みのあるだしが出る。真昆布に次ぐ高級品。煮物や鍋物のだし用として適しています。 - 利尻昆布
色は黒褐色。真こんぶに比べてやや固め。透明で風味のよい出し汁がとれる。 - 日高昆布
色は緑に黒みをおびた色。利尻昆布よりやや薄味ではありますが、煮えやすく柔らかいので、こんぶ巻きや佃煮などの煮こんぶに利用されます。
大衆的な味として知名度があります。 - 長昆布
色は灰色をおびた黒色。6~15mと長いのが特色。生産量が最も多い。 - 厚葉昆布
色は黒色。切口は白い色で、甘味が少なく、にが味と、とろろ分がある。 - 細目昆布
色は黒色。切口は白い色で、甘味はすぐになくなる。
昆布の栄養と旨味成分
現在、国内で生産されている90%以上が北海道で取れる昆布です。
昆布には、牛乳の何倍もの栄養素が含まれています。
貧血気味の女性や成長期のお子さんに、鉄分やカルシウムを摂取するに最適の食品ということになります。
3大旨味成分とは
- グルタミン酸・・・昆布に含まれている。20種類のアミノ酸の一種でたんぱく質。
- イノシン酸・・・かつおに含まれている。動物性の食材にたくさん含まれている。
- グアニル酸・・・干し椎茸に含まれている。生しいたけには含まれていない。
出し汁の文化は、つまり和食の文化であり、世界無形文化遺産となってからは、海外からの興味を集めています。
京都の錦市場では、外国人観光客が、鰹節削り器を買って帰るそうです。
和包丁が人気を集めたり、出し汁の理解が広がったり、日本の素晴らしさが認められるのはうれしいことです。
昆布の5大パワー
日本で古来親しまれてきた昆布ですが、美と健康を守る多彩な作用が期待できます。
最新研究から明らかになってきた昆布のパワーをご紹介いたします。
人気メディアにも紹介され注目を浴びました。
昆布のマツモト 店内ポスター
1・塩の取り過ぎや過食から守る
うまみ成分のグルタミン酸が、塩分控えめでも「おいしい」と感じやすくしてくれます。グルタミン酸には胃腸の働きを良くすると同時に過食を防ぐ作用もあります。そのほか、取り過ぎに気をつけたい油、飽和脂肪酸の摂取量が減るなど、食行動が健康的になるという報告があります。
2・胃粘膜を守る
多糖類のラミナランに胃粘膜を守る作用があることを動物試験で確認できています。胃粘膜の細胞が、がんになる一歩手前の前がん状態になるのを防いでくれます。
3・炎症・アレルギーから守る
多糖類のラミナランで、ある種の乳酸菌が増えるのに伴い、炎症を抑える免疫細胞も増えることを動物試験で確認できています。炎症性の腸疾患や食物アレルギーの予防効果が期待できます。
4・腸内環境の悪化から守る
昆布出汁には腸内環境を整える短鎖脂肪酸の生成量を増やす作用があります。出汁に含まれる単独の成分よりも昆布出汁として摂取した場合に強い作用が見られます。
5・太り過ぎから守る
昆布の粘りのもととなる水溶性植物繊維のアルギン酸にも、それが含まれない昆布出汁にも内臓脂肪を減らす作用があります。色素成分のフコキサンチンは、余分な内臓脂肪を燃やし、高めの血糖値を下げる効果があります。
昆布検定
何でも検定試験があるものですね。なんと昆布検定を見つけました。
個人情報を記入する箇所は、適当でも大丈夫でした。
100点とるのは少々難しかったです。
昆布料理のレシピ
冬の鍋料理には、欠かせない昆布だしですが、美容と健康にいい昆布をもっと取り入れていきたいと思います。
まとめ
昆布が体にいいことがわかっていても、なかなか毎日の食卓に登場させるほど、ポピュラーな食材とはいえません。
塩昆布は塩分の取り過ぎになるようなイメージで、たまにしか食することがありません。
堺に住み、身近に昆布工場があるのですから、もっと食卓に登場させていきたいと思います。
地元を応援して、美容と健康にいいのですから一石三鳥になります。
昆布は縁起のいい食物で、「よろこんぶ」といって、お祝い事にも使われます。
堺の昆布をたくさんいただいて、運勢を上げていきましょう!
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